水原一平氏の違法賭博疑惑。アメリカでは、水原正平氏は大谷翔平選手の身代わりとなったとの噂も出るなど、突然のスキャンダル報道として、ネット上は騒然となっています。
大谷翔平選手の地元ロサンゼルスでは、野球賭博でＭＬＢを永久追放になった４０００本安打のピート・ローズ以来のスキャンダル、「第二のピート・ローズ」報道も出ています。
大谷翔平選手の日頃の生活ぶりを報道等で知っている私たち日本人にとっては、大谷選手自身が違法賭博に関わることなどあり得ないように思いますが、仮に、大谷選手が水原氏の違法賭博を知っていて「肩代わり」した場合でも、大谷選手自身にも影響が出てくる可能性はあります。
この後、どのような展開になっていくのでしょうか？
水原一平氏の違法賭博疑惑が開幕戦明け、２１日朝報じられました。
ロサンゼルス・タイムズなどによると、「水原一平氏が、違法なスポーツ賭博に絡んで多額の負債を抱え、その支払いが大谷選手の銀行口座から行われた。」「大谷選手の代理人弁護士が「巨額の窃盗」を行ったとして、水原一平氏を告発した。」「これを受けて、ドジャースは水原一平氏を解雇した。」「関与した金額が少なくとも４５０万ドル(約６億８，０００万円)」などと報じられました。日本のメディアは、これらの報道を受けて、２１日朝、上記内容を伝えました。
一方、水原一平氏は、前日(２０日)の開幕戦前、米放送局ＥＳＰＮのインタビューを受けていて、
(1)水原氏はボーウィー氏(賭博の胴元)と出会って間もなくクレジットで賭けを初め、野球以外のいくつかのスポーツに賭けた。水原氏はこの賭博の組織が違法だとは知らなかった。
(2) 水原氏の賭博の負けによる借金は２０２２年末の段階で１００万ドル、２０２３年初めの段階で４００万ドルに膨らみ、この時初めて大谷選手に助けを求めた。彼は憤っていたが、僕を助けると言ってくれた。
(3)大谷選手は金を借りた相手が違法賭博組織とは知らなかった。僕はただ借金返済の支払いをしなければいけないと伝えた。彼はそれが違法なのかも聞いてこなかった。
(4)大谷選手が借金の返済に同意した後、２人は大谷のパソコンで大谷の銀行口座にログイン、数カ月にわたって１回５０万ドルの送金を８、９回行った。取引の説明欄に「ローン」と書いた。
概ね以上のように、ＥＳＰＮは伝えています。
ただ、２１日になって、大谷選手の代理人弁護士から告発を受けた後、ＥＳＰＮの記者が再び電話で接触、「私に嘘をついていたの？」と聞くと水原氏は「はい」と答え、「大谷は僕がギャンブルで借金していたことは知らなかったし、彼はブックメーカーにお金は振り込んでいない。」と言ったとのことです。
水原一平氏は、２０日のインタビューでの内容を２１日になって撤回、一転して釈明しています。
また、ＥＳＰＮの取材によると、この件がドジャースの選手たちに伝えられたのは開幕初戦の終了後で、オーナーと編成部長が「水原氏にはギャンブルによる多額の借金があり、その肩代わりに大谷の資産が使われた」と話し、水原氏本人も「すべて自分が悪い。自分はギャンブル依存症だ」と話したといいます。
大谷選手はこの時初めて一連の事実を知り、別の通訳を通じていくつかの質問をしたといいます。
そして、翌日、大谷選手の代理人弁護士によって、「大規模窃盗」として捜査を要請することになったとの発表に繋がっていくことになります。
現地ロサンゼルスでは「第二のピート・ローズ」報道も出るなど、騒然となっています。
ロサンゼルス・タイムズは２２日、大谷翔平選手について、監督時代に野球賭博疑惑でＭＬＢから永久追放になった歴代最多安打記録(４２５６本)保持者のピート・ローズを引き合いに、「もし賭博の借金を払ったのなら法的問題に発展するかもしれない」としました。ベーブ・ルース以来の本格的な二刀流のスーパースターが、落ちたヒーローに重ねられた形です。
仮に、水原一平氏が２０日にＥＳＰＮに語ったように、違法賭博の借金を大谷選手が肩代わりしたというのが事実の場合、「違法賭博の幇助」として大谷選手が罪を問われる可能性もあります。
また、アメリカ国内のＳＮＳでは、「通訳は代わりに罪をかぶっている」「通訳はスケープゴート」などと、まるで賭博をしていたのは大谷選手であるかのようなコメントも多くあるようです。
実際、大谷選手の銀行口座から違法賭博の胴元に送金があったことは間違いないとすると、仮に通訳に泣きつかれて肩代わりした場合、日本では友情とか人助けと映るかもしれないが、アメリカでは通訳と同罪、愚かな行為だと受け取られるとの指摘、自分の知らないところでの送金だとしても、７億円近い金額が自分の口座からなくなったのに気付かないとはだらしない、カネにルーズな人物と受け取られるとの指摘もあり、イメージの低下は避けられません。
現時点では、水原一平氏が２０日のＥＳＰＮインタビューで詳細かつ具体的に語った内容を２１日に一転して翻したことが不自然に感じられることもあり、２１日の報道のように大谷選手が水原氏の違法賭博を２０日の開幕戦後に初めて知ったとされること、大谷選手の代理人弁護士が発表した「水原一平氏の大規模な窃盗」という声明もそのまま鵜吞みにすることも困難なように見えます。
大谷サイドとしては代理人弁護士が発表した声明が大谷選手の見解ということかもしれませんが、噂や疑惑を晴らす意味でも、まず大谷翔平選手自らが今回の件を説明すべきではないでしょうか？
大谷翔平選手への今後の影響はどうなるのでしょうか？
２３日、ＭＬＢが水原氏が違法賭博に関与したとされる問題について、正式に調査を開始したとの発表がありました。私たち日本人が最も気になるのは、大谷翔平選手が、今後も試合に出続けることができるかということでしょう。
スポーツ賭博の禁止事項を記載したＭＬＢの「ルール２１」では選手、球団職員、審判、機構関係者を対象に、野球賭博に関与した場合、出場(職務)停止１年、自軍に賭けた場合は永久追放処分、違法賭博への関与はジャンルに関係なくペナルティーの対象になり得ることが定められています。
過去にＭＬＢを揺るがした違法賭博事件は、先述のピート・ローズの永久追放の件、また、１９１９年のブラックソックス事件(ホワイトソックスの８選手が賄賂をもらって八百長に加担したとされる事件)が有名ですが、これらのケースでは、自軍に賭けた野球賭博への関与ということで永久追放処分が科されています。
今回のケースについてみると、仮に、大谷翔平選手が「自ら主体的に賭けていた」場合はもとより、「違法賭博と知りながら借金を肩代わり」したとすれば、上記の「ルール２１」に基づく処分が課される可能性があると見られます。
ただ、ＥＳＰＮインタビューでは、水原一平氏は国際サッカー、ＮＦＬ、大学フットボール、ＮＢＡに賭けていて、野球には賭けていないとのことですので、これが事実だとすれば、野球賭博の場合とは異なり、「永久追放」や「出場停止１年」と前段の規程に基づき処分が決まるのではなく、「違法賭博への関与はジャンルに関係なく、ペナルティーの対象になり得る」ものとして、コミッショナーの裁量による決定に基づく(何らかの)処分が課される可能性があります。例えば２０１５年、マイアミ・マーリンズ在籍のジャレッド・コサート選手が違法賭博のルールに違反した際は「野球に賭けていない」とリーグが判断、出場停止処分は課せられず、罰金処分となりました。
勿論、大谷選手サイドが声明で発表している様に「大谷選手は水原氏の違法賭博を全く知らず、水原氏による窃盗」だとすれば、上記の「ルール２１」に抵触することは一切なく、処分が課されることもないということになるでしょう。
まとめ
２０２４年のＭＬＢが開幕した途端、水原一平氏の違法賭博疑惑という、大谷翔平選手の初スキャンダルともいえる事態が起きました。
大谷選手サイドの発表によりますと、本件は「水原氏の窃盗」、大谷選手は水原氏の違法賭博を全く知らず、違法賭博とは無関係としています。
しかしながら、この発表の前後で、水原氏の説明が異なっているなど、不自然な点も見られます。
大谷選手サイドの発表通りの事実であることを期待しますが、仮に、大谷選手が「違法賭博と知って肩代わり」していたとなれば、「出場停止」等を含む、ＭＬＢの処分を受ける可能性もあり、正式に調査を開始したＭＬＢの調査の行方や、真実は何かについての今後出てくる情報等について、今後、注視していきたいと思います。
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