北陸新幹線福井県開業。越前ガニ・東尋坊観光は? 京都、大阪延伸はいつ?

北陸新幹線「かがやき」が敦賀へ延伸、新幹線が福井県で開業しました。石川県の金沢開業から9年、田中角栄内閣の整備計画策定からは51年。地元福井県の悲願が実現しました。
首都圏からは、金沢での乗換えや、東海道新幹線経由の米原乗換えがなくなり、東京福井間が「かがやき」で2時間51分、従来最速の米原経由よりも33分短縮。東京敦賀も3時間8分です。
福井県名産の越前ガニや断崖絶壁の名所東尋坊がある福井県への観光がぐっと近くなりました。
北陸新幹線は、今後、小浜を経て京都、新大阪に延伸する計画です。国土交通省は2046年の完成を想定していますが、膨大な整備事業費をどう捻出するかといった課題もあり、前途多難です。

北陸新幹線「かがやき」が敦賀へ延伸。福井県での新幹線開業です。

北陸新幹線「かがやき」が敦賀へ延伸、首都圏からは「かがやき」が東京・上野・大宮各駅から、長野駅に停車後、富山・金沢・福井・敦賀各駅に向かいます。2015年の富山・金沢開業で首都圏と富山・石川両県との交流人口は格段に増加しましたが、今回の福井県開業で、首都圏からは少し足が遠かった福井県との交流人口も格段に増加するものと見られます。
一方、従来から交流人口が多かった関西・中京圏からは、北陸へ行く際は敦賀駅での乗り換えが必要になり、時間的には短縮されるものの、新幹線開業で却って不便になったとの声も聞かれます。並行在来線はJRから第三セクターの「ハピラインふくい」と「IRいしかわ鉄道」に移管、特急は敦賀止まり、これと接続する形で北陸区間(富山・金沢~敦賀)を走る北陸新幹線「つるぎ」が北陸への旅客を運びます。例えば、これまで大阪から金沢まで、また被災地の和倉温泉まで直通だった特急「サンダーバード」は敦賀止まり、敦賀金沢間は新幹線を利用する形となります。

福井県では、2020年に、ふくい観光ビジョンを策定し、北陸新幹線福井・敦賀開業等を睨み、同県の観光資源を活用して、国内外からの観光客の誘致に取り組んでします。
福井県は新幹線開業を「100年に一度のチャンス」として、観光の他、経済・産業、少子高齢・人口減少社会への対応等を含め、様々な地域課題の解決に繋がる戦略を策定、推進しています。

首都圏から近くなった福井県。越前ガニや東尋坊、観光のお勧めは?

米紙ワシントン・ポストは「人混みを避け、2024年に旅すべき場所」として世界の12カ所を選出した特集記事で、「日本の最もスピリチュアルな地域の一つ」として福井県を紹介しました。
延伸開業する北陸新幹線により東京から約3時間で行けると説明しています。また、主な観光地として永平寺町にある曹洞宗大本山永平寺を挙げています。
また、日本が世界に誇れる富裕層インバウンド(訪日客)向けの宿泊施設などを顕彰する「ラグジュアリー ジャパン アワード 2024」の選考会がこのほどあり、福井県坂井市の料理旅館「望洋楼」がホテル・旅館部門でベスト10に選ばれました。

北陸新幹線の京都、大阪延伸はいつ? 延伸に向けた課題は何?

北陸新幹線は、今後、小浜を経て京都、新大阪に延伸する計画です。国土交通省は2046年の完成を想定していますが、工事費高騰で増加する整備事業費をどう捻出するかといった課題もあり、前途多難です。沿線となる予定の京都府内では住民の反対もあり、工事計画認可に必要な環境影響評価も遅れています。かつて与党プロジェクトチームは大阪延伸について、2023年度当初の着工を決議しましたが、京都、大阪延伸の詳細なルートや駅位置はいまだに決まらず、着工のめどが立たない状況が続きます。
なお、上記の2046年完成というのは、従来、敦賀~新大阪間の建設費は概算で2兆1,000億円、整備期間15年とされ、従来の計画で北海道新幹線の札幌開業が2031年、仮に、それから着工するとして、15年で2046年と想定したものです。しかしながら、従来の整備新幹線の予算や整備スキームが変わらないとすると、実際のところ、工事費高騰等で、札幌開業は遅れる見込み、北陸新幹線大阪延伸区間も15年で整備できるか微妙な状況です。

いずれにしても、小浜・京都ルートによる北陸新幹線の大阪開業は2040年代以降になると見込まれ、人口減少や更なる少子高齢化の進展を踏まえた議論も必要になるのでは無いでしょうか?
大阪延伸ルート(小浜・京都ルート)は、与党プロジェクトチームでルートが決定した2017年当時、B/C(費用便益比)が1.1と、辛うじて最低限必要な1を超えた状態でしたが、その後の人口動態の変化や建設費高騰を考慮すると2040年代を念頭に置けば1を下回る可能性もあります。すなわち、公共事業としての実施基準を満たせなくなる可能性もあるということです。
当時、落選した米原ルート案は、建設延長が約50キロ、整備事業費が約5,900億円と安く、B/C(費用便益比)が2.2と、採択された小浜・京都ルートが、同約140キロ、約2兆1,000億円、1.1となっているのと比べ、費用対効果の点では上回っていました。
弱点は、整備計画に明記された小浜市付近を通らないこと、米原乗換えが必要となり、乗換え時間15分を含め敦賀大阪間の所要時間が約1時間7分、小浜・京都ルートの所要時間約43分より約24分多く時間がかかる点でした。一方で、建設延長は約50キロと現行ルートの約3分の1、工事費から見れば、工期も5年程度に短縮でき、中京圏への旅客輸送にも同時にメリットが出ます。
2037年にはJR東海のリニア中央新幹線の品川新大阪間での開業が予定され、東海道新幹線の容量が空くと見られ、JR東海と北陸新幹線(上越妙高駅以西)を運営するJR西日本との調整は必要になりますが、国が音頭を取って調整することにより、直通運転の余地もあると思われます。
仮に、新大阪まで直通が可能ならば、時間差もわずか約9分となります。この案の他、敦賀から「サンダーバード」が走る大阪まで(現行最速1時間20分)、湖西線等を「ミニ新幹線」として再整備し、北陸新幹線「つるぎ」が直通運転する方法もあるかもしれません。また、小浜方面には代替措置の検討が可能です。
一度決めたことは変えられない日本政府ですが、京都府内での反対運動はかなり深刻な状況でもあり、今こそ、原点に戻った議論をすべきではないでしょうか?

まとめ

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